僅か31%の高校入学という狭き門を突破しても、大学は無理だという学生たちは2年〜3年コースの「中等専門学校」へ入り、専門技術を学び就職する。しかし、この中等専門学校コースさえ、厳しい選抜試験を突破しなければならないのである。
中国の大学は、全国統一試験・統一募集を実施している。全国統一の試験は毎年7月7日〜9日の3日間行われ、3つの種目、つまり理工系、文科系、外国語系に分かれる。
各種目とも国語、数学、外国語が共通試験科目で、そのほか各種目によって試験科目が課せられる。重要なことは、各科目の成績が、平均80点以上をとらないと、まず、大学へ入学することは困難である。
統一試験の外国語の試験のなかには日本語試験もある。
II. 教育の仕組み
基礎教育
基礎教育は小・中学校の教育と特殊教育である。96年末で、中国全土には小・中学校の数が73万校あり、在籍中の児童・生徒は約2億人に達している。
中国でも義務教育の期間は9年間である。
86年に「中華人民共和国義務教育法」が公布され、現在は、この9年制義務教育が中国全土の半分以上の地域で普及している。
中国では「特殊教育」も義務教育の重要な一部門である。
中国政府は身体障害者特に身体障害児童に対する擁護教育を重視し、「身体障害者教育条例」など関係法律を制定し、特殊教育の発展を促進した。96年までに、中国全土では特殊教育学校が1426校あり在籍の児童・生徒は32万人にも達している。この数字は92年との比較で、学校数にして1.4倍、人数で2.5倍である。
このように中国政府が基礎教育の充実・発展に力を入れている反面、一部の地方に、新たな「文盲」問題が発生している。それは、商品経済が発展するにつれて、一部に、「義務教育法」を無視して子供を小学校にやらず、商売をさせたり、働かせる現象が生まれていることである。国は、これらの親に対して行政指導を行うなど厳しく対処している。
中等職業教育
職業技術教育は、中国の現代化教育の主要な構成部分である。
職業技術教育は、労働者の文化的、技術的資質の向上にとって欠くことのできない重要な位置を占める。国は職業教育の発展を促進するために、91年には「大いに職業教育を発展させるための決定」を公布し、96年には「中華人民共和国職業教育法」を公布した。
その後、各種類の職業技術教育、とくに中等職業技術教育は、中国現代化建設の発展の必要に基づいて大きな発展を遂げている。
高校教育においても中等職業教育との関連で、その教育構造が大きな変革をみせている。
80年代に入ってから、高校教育の構成が単一化しているという不合理を是正するため、高校教育段階における普通教育(大学進学コース)と、職業・技術教育との構成を調整して大きく職業技術教育を発展させたことで、高校教育の構成も大きく変わった。