Pseudomonas属(緑膿菌)の1株を除き、全細菌に対して強い抑制作用を認めました。膀胱内で感染してすでに悪臭がある尿に対しては、抗菌繊維は役立ちません。このため、私たちは消臭繊維として鉄フタロシアニン繊維を選びました。この繊維は信州大学繊維学部の白井教授によって開発された繊維で、酵素類似の作用によって悪臭を除きます。消臭繊維として現在さまざまな繊維が開発され発売されていますが、この繊維は活性炭との比較で、アンモニアでは約20倍、便の臭いであるアミン類、インドール、スカトールでは約100倍の消臭力のあることがわかりました。
この2種類の繊維を用いて尿もれや大便のもれのある患者さんのための下着をつくりましたが、残念なことに、これらの繊維は高価なため使い捨てができないことです。これらの下着は以下に示すような構造になっています(図28)。
肌に接する部位の繊維は、スキーズボンなどに用いられているエステルメッシュを選びました。