尿もれ患者の心と身体
過度の緊張など心の不安状態が続くと、交感神経と副交感神経の均衡がくずれ、いわゆる自律神経失調症の胃痛、便秘と下痢、頻脈、発汗、頻尿などの症状が出現します。急激なストレスの負荷に対する身体や心の反応は一過性なのですが、長期間の慢性的な緊張状態は本人が原因に気づかぬ間に心身症を生じ、その結果、不定愁訴といわれる種々の訴えをもつようになります。ストレスに対する反応は本人の性格などによる差もありますが、それらは特別なことではなく、誰の身にも起こりうることです。中国では「膀胱は心の鏡である」ということわざがあります。多くの人が、人前で話すときや試験の前などの緊張を伴うときに頻尿や尿意切迫を経験したことがあるでしょう。また、強い恐怖を感じたときやヒステリー発作などの興奮時に尿失禁、あるいは排尿困難などの症状を現すこともあります。通常、これらの症状は一時的なもので、緊張などストレスの原因が和らげば症状も消失しますが、症状が長く続き日常生活に影響をもたらす場合もあります。また、頻尿や尿失禁などの排尿障害は、日常生活への支障のみならず心理的にも影響を与え、さらに症状を悪化させることがあります。