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一方、米国の排尿回数の調査によりますと、560名の健康な社会生活を営んでいる女性の1日の排尿回数は、4回以内5.5%、5回35%、6〜8回47.5%、9回以上12%であり、8回以内が88%を占め、私たちの調査結果とほぼ同じでした。夜間の排尿回数は0回が37%、1回39%、2回17%、3回以上が7%であり、私たちの調査結果と夜間の回数分布は多少異なっていました(Diokno)。

このように私たちの健康状態は年齢に対応して判断しなければなりません。たとえば、腎機能を例にとりますと、60歳代の人のクレアチニンクリアランス値(腎機能を示す値)は72ml/分、70歳代では64ml/分、80歳代では47ml/分であり、若い人の正常値の110ml/分以上という数値から判断すると高齢者のすべてが腎機能不全となってしまいます。このように年齢に相応した測定値を老人の基準値としています。

一方、日野原重明先生は基準値という言葉の代わりに認容値という用語を勧め、「お年寄りが不自由なく日常生活を営むことができる状態の値」という定義を述べられています。認容値の個人個人の値は異なります。認容値は臨床的に役立つ実用的な用語であり、私はこの用語を用いています。上述しました夜間2回の排尿回数は多くのお年寄りにとっては、認容値といえるでしょう。

 

 

 

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