改訂版の序
初版の小冊子を皆さんのお手元に届けてから4年の月日が過ぎ去りました。この4年間に「尿失禁の分野」にも大きな変化が起こりました。
尿失禁に対する社会の取り組みに著しい進歩がみられたこと、尿失禁や排尿障害についてのすぐれた薬物が開発されたこと、数多くの尿失禁のための器具(パッドなど)が開発されたこと、それに一般の人たちの尿失禁に対する関心が高まったことです。
医療側でも医師主導型であった尿失禁の学会が、医師、看護婦、保健婦、介護福祉士、ケースワーカー、ボランティアと一体となった全国レベルの学会が開かれ、活発な意見の交換が行われるようになりました。尿失禁についての演題が日本泌尿器科学会、日本産婦人科学会、日本老年病学会、日本行動療法学会等で取り上げられてきましたし、これらの学会に関連した数多くの国際学会も日本で開催されるようになりました。
このように日進月歩の著しい分野であるので、今回改訂を試みましたが、数年後にはまた新しく書き加える事項が出てくることは間違いないと思われます。
本書が皆様の臨床に少しでも役立てばと願っております。
改訂にあたり用いました資料は「長野県尿失禁を考える会」、長野県厚生連鹿教湯病院、北信総合病院、佐久総合病院、篠ノ井総合病院の健康管理部の諸氏のご協力を得たものであり感謝いたします。
尿失禁の頻度に関する調査結果は笹川医学助成金によって得たものであることを付記いたします。