われともろとも長生きをせよ。
最善の事はのちにあるべし。
人生初めあるは終りのためなり。
(以下略)
また、レオナルド・ダ・ヴィンチも、
十分に終わりのことを考えよ。まず最初に終わりを考慮せよ。と若者に言っています。
みなさんの若さは終わりのためにあるのだというのです。私たちの人生には終わりが必ずあります。その限りあるいのちをどう生きるかという命題を一人一人が背負って生きているのですが、多くの人は限りあるいのちを概念的にはわかってはいても、なかなか実感していない人が多いのではないでしょうか。
私は105歳になられた小倉遊亀画伯や女性の国会議員の草分けである102歳の加藤シヅエさんはじめ、高齢の方々の主治医をしていますが、こういう方々から教えられることが実に多いのです。鈴木大拙先生が90歳を超されてから秘書に「長生きしないとわからないことがたくさんあるのだよ」といわれたそうですが、その方の一生の中で出会ったさまざまのことから真理が得られるのだという意味ではないかと思います。ゲーテがその才能を賞賛されたときに、「私のすべてのものは他の人からいただいたものです。私にはただ勤勉と熱意と努力があっただけなのです」といったそうですが、ゲーテにおいてすら自分を満たすものは他から受けていると表現されるほど、私たちはさまざまの人のおかげで今日あるということをもっと自覚すべきでしょう。