断るのがとてもむずかしいというのです。そのとき、その人が求めているすべてを与えたとするとどうなるでしょうか。それは自己充足的、つまり他者がクライアントのニーズを必要以上に満たしてあげることによって、患者さん、もしくはクライアントが自己充足的な偽りの万能感の中に逆戻りしてしまうようになるのです。このようなかかわりからは、スピリチュァル・ケア・サイクルの中に入ることはできません。もちろん、危機的状況の中では、自分のスケジュールを無視しても援助しなければならないことはあります。しかし、普段の生活の中で援助を求められたときに、自分にも限界があるということをそうしたかかわりの中で少しずつ教えて、トレーニングしていく必要があるということです。あるいは、援助者はすべての問題に解答をもっているわけではないということをわからせていくのです。いろいろなことを聞いてくるでしょう。しかしその中にも自分にもわからないことがあるということを通して、限界があるということを示していくことによって、クライアント自身が自分の責任でしなければならない部分があるというものもわかっていくのです。それから、援助者にもどうしたらよいかわからないことを示していくことで、クライアント自身の限界も受容していくことも可能となっていきます。
つまり、援助者にも限界があるということで、クライアント自身も傷ついたり弱ってもよいのだということが受け入れやすくなるのです。
答えは機械的でない:
癒しの関係の中でいつも私が感じることは、スピリチュアル・ペインということは「1+1=2」、「5-3=2」であるというような意味での答えはなかなか出てこないのだということです。