もちろん、そういう形で答えが出てくれば問題はないのですが、そうではないことがあまりにも多いのです。そのときに、援助者は必ずしも答えを与えなければならないわけではないという前提でかかわっていく必要があるのです。
私は、カウンセリング講座の中で、自分というものに対して正しい確信をもっていると、つまり、自己充足ではない自分を受容しているときに、「ノー」と言えるようになるということを強調します。援助者にとっていちばん言いにくい言葉は、「ノー」、つまり「わかりません」、あるいは「できません」ということです。しかし、このことが言えないと、癒しの関係を築くことはできません。
癒しの関係は、“分離”“依存”“利用”ではなくて、直視し、そして現実の中でどう対応できるかということを援助し、援助者にも限界があるのだということをかかわりの中で示していくことから始まるのです。もちろん、そのようなプロセスで必要なことは、その人への十分なサポートです。これがないとクライアントはスピリチュアル・ペインに立ち向かうことは困難です。十分にサポートされているという実感をもつことができると、直視でき、また現実の中で対応することが可能となり、さらに自分の限界も受け入れることができるようになるのです。
これらのバランスをどのようにとるかということは、癒しの関係を築くのに不可欠です。これは容易にとれる姿勢ではありませんが、援助者にとっては重要な資質です。今日は詳しくお話しできませんが、そのようなことを意識しながら、援助者としてケアをしていただければ幸いです。