この人に全部依存したら解決するというメッセージを送ることは間違っています。それは癒しのかかわりではありません。たとえば、現代の社会で問題になっている新興宗教にみられるようなかかわりはまさにこれなのです。分離があり、過度の依存があるのです。
利用から癒しへ
援助者がクライアントを利用することは誤りです。それは、援助者のニーズを患者との援助関係を通して満たしてしまうことになってしまうからです。
援助者のニーズ:
アメリカでの調査結果ですが、援助職といわれる職業についている人の性格的な特徴は、他の職業についている人々と比べると依存的だということです。つまり自分から能動的に人間関係を築くのが困難だというのです。
では、そのような人が援助者の役割を担ったとしたらどうなるでしょうか。クライアントを現実から分離させ、そして過度に自分に依存させることによって、自分のニーズをその援助関係の中で満たしていくことになってしまいます。これが利用ということであって、そこからは癒しのかかわりは生まれてこないのです。
どうしたらいいかというと、援助者自身にも、そして援助そのものにも限界があるのだということを、かかわりの中で教えていく必要があります。
援助者にも限界がある:
よく質問されるのですが、「毎夜、電話があるのですがどうしたらいいのでしょうか…」。