キャリア:
キャリアについても、今後自分はどのような仕事をしていくのかについて考えなければならなくなりました。以前ですとどのような会社に入るかが目標でしたが、いまは会社ではなくて、どんな仕事をしていくのかということに焦点が向けられるようになりました。5年、10年とたったあとで、これから先、つまり今後5年、10年どんな仕事をしていけばよいのかと悩むことも出てきます。
このような問題に直面したときに人生の危機に遭い、自己充足的な生き方の破綻を迎え、スピリチュアル・ペインが出現するきっかけになるのです。
“スピリチュアル”の意味は?
スピリチュアル・ペインの心理的な面についてですが、実は何度も自分に問い返しているのですが、スピリチュアルという言葉はあえて使わなくてもいいのではないかと思っています。私は精神病理についてはアメリカで教育を受けましたので、アメリカの精神疾患の診断基準である『精神疾患の診断マニュアル(DSMIV)』から引用します。以前には触れられてはいなかったのですが、第III版の改訂版には、スピリチュアルな問題も精神疾患の中に含まれるようになりました。それは、“宗教またはSpiritual Problem”となっています。これが日本語版ではどう訳しているかといいますと、「神の問題」となっています。ここでの精神疾患は、心理的・情緒的な問題ではなく、純粋に宗教とか、信仰的な問題に限られています。