親子関係についても核家族になって久しく、大家族のときとは比べものにならないくらい深刻化しています。いったん問題が起こるとそれを補ったりするかかわりがありませんので、どんどん悪化してしまうのです。犯罪の低年齢化が進行していますが、家族の果たす役割は大きいのです。そういう意味でも、家庭的な問題は人生における危機という面ではとても大きいといえるでしょう。
個人的問題:
私が最近、問題として気づくことのひとつは、個人的な問題です。たとえばアイデンティティーの問題です。アイデンティティーという言葉は使わないにしても、一体自分は何ものなのか、あるいは、生きがいとか、さらには生きる意味とかについて、以前はあまり考える必要のなかったようなことを考えるようになっています。しかし、現代はアイデンティティーをもつことが困難になっているように思います。価値観が多様になり、そして社会の変革が急激で、何かに個人的にかかわったりすることができないぐらい早く進み、あるいは自分を見つめる余裕がなかなかありません。また、いままでの日本の社会ではそういったことを真剣に考えてこなかったため、見本となる人々も身近にはいません。ですから、アイデンティティーの問題で悩み始めると、深みにはまりこんでいくようになります。
セルフイメージの問題:
それからセルフイメージの問題があります。これはまだ一般的には理解されていないかもしれませんが、自分についてのイメージが不健全ですと、いろいろな領域に支障を来します。セルフイメージが低いと、自分はだめだという劣等感とか自己嫌悪感をもつようになり、うつ状態になっていく引き金になることがあります。逆に、うつ的な人は非常にセルフイメージが低いということもあります。