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がんが切除できない場合があるかもしれません。その人には原状回復のチャンスがなく、もはや健康を回復することはできないのでしょうか。答えはイエスかもしれないしノーかもしれません。それを決めるのは医師ではなくあなた自身なのです。ここであなたのスピリチュアルなあり方が大きくものをいいます。

昨日までは、がんのないのが私の全体性だった。だから私は健康だった。しかしいまここにいる私は「昨日までの私プラスがん」なのです。それが受け入れられない限り、「もはや全体性を失ってしまった自分」という幻想のもと、失意のうちに日々を送らなければならないかもしれません。

ところで、昨日までの自分はさておいて「がんを抱えた私」という新しい現実を「全体(ホール)」として受容できるでしょうか。それができればそのときその人は「癒され(ヒール)」始めているのです。がんと共にその人らしく生きる模索が始まるとき「健康(ヘルス)」に至る道標を新たに獲得したといえるのではないでしょうか。

いままでの自分から何かを失った体験の場合も同じことがいえます。たとえば胃を全部摘出してしまったとします。「生まれながらの自分マイナス胃袋」です。昔のような健康体は二度と再び取り戻せないと嘆く限り、予後が順調でも完全に「癒(ヒール)される」ことはなく、新たに「健康(ヘルス)」を得ることはむずかしいのです。

ところが「マイナス胃袋の自分」をあるがままに直視し、そんないまの自分の「全体性(ホール)」を受容するとき、その人は「癒(ヒール)され」、きっと新たなる「健康(ヘルス)」を獲得できるのです。

 

 

 

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