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歩き始めは転んでも転んでも立ち上がり、自分で立ち上がろうとします。一歩踏み出しては尻もちをつくことを繰り返し、歩行を確立します。これが0歳なりの「意欲」です。立ち上がるたびに担任は手を叩いて褒めたり、応援してあげます。0歳を育てる者は誰でもやっていることですが、日中の大半を保育園で過ごす赤ちゃんたちが、友達へのやさしい気持ち「思いやり」と自分で精一杯やってみようという「意欲」が育つようにと、子どもたちと触れ合っています。この二つさえしっかり身についていれば一生大丈夫と思い、そうした場面のひとつひとつを見逃さないように見守っています。

さて、私たち担任は「乳児保育は、保育園の心臓部にあたるポジション」と自負しています。これから大人になるまでに、母子共に少なくとも十数人の「先生」と呼ばれる人に出会うでしょう。その初めての先生になれるのですから。それに加えて、保育園での6年間を母子共に信頼を持って通園できるか否かは、最初に出会う私たち乳児保育の担当者の肩にかかっていると言えますので、責任の重さを痛感します。

また人間として最も大切な時期をお母さんより託されたという使命感、そして小さな命を預かるという敬虔な怖れ、そうした思いでの一日が無事終わり、夕方、お母さんの腕にお返しすると、ほっとするのです。

『今日も無事に過ごせた』という気持ちで、お地蔵様に合掌して草花保育園の1日が終わります。

 

 

 

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