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草花保育園の乳児の1日を時間を追って、大事なお子さんをお母さんにお返しするまで担任がどのような気持ちでお預かりしているかを書いてみました。

保育をするにあたって大切にしていることは、「保育者の養護・援助活動」に書きましたが、そのほかに心がけていることを記したいと思います。

子どもの生活の中で大切にしていることのひとつは、遊びの時間にできるだけ外遊びをさせたいということです。

今の子どもは自然離れをしている、と言われます。親もそうです。幸い草花保育園はまわりに自然がいっぱいです。もちろん園内でも十分自然に接することができますが、少し園のまわりを歩きますと神社や公園があり、道々人家で飼われているあひる、にわとり、犬、猫などに出会います。またすれちがう近隣の人に「こんにちは」などと挨拶を交わしたりします。道端に咲く花々や昆虫に足を止めたりして、担任の感動をまだお話できない子どもたちに伝えるようにしています。園内には、いつも園庭から草花を摘んで花瓶に生けてあり、誕生会にはいつもより大きな花瓶にたくさん入れてステージに飾って祝うなど、周りの環境は申し分ありません。この環境を生かして自然の中で命あるものとの対話をすることで、豊かな心を育むことができるようにと思っています。

また、乳児の時期に「思いやりの心」と「意欲」の芽を育てておきたいと思っています。乳児の時期に「思いやりの心」と「意欲」ですって?…あるんです、そんな心が。

例えば、友達が泣いています。すると、ものは言えなくても、気付いた子が自分で使って遊んでいたおもちゃを泣いている子に持って行ってくれます。また鼻水の出ている子を見ると、担任にちり紙を要求してその子のお鼻を拭いてあげようとします。そんな場面を見逃さないようにして、常に見守り、すかさず褒めてあげます。これが0歳なりの「思いやり」です。

 

 

 

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