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文献名:Data Book of SEA-LEVEL RISE

編集:Nobuo Mimura

発行:Center for Global Environmental Research 発行年:1996年

 

本調査に関係する主な内容

・地球温暖化によって長期間、徐々に海面の平均水位が上昇すると考えられ、その時間スケールは数10年〜100年程度である。

・海水温の上昇に伴い、特に海洋表層の混合層(表面から水深200m程度)の海水の体積が膨張し、海面が上昇する。現在海洋の熱膨張による海面上昇は、Box-upwelling-diffusion Model、Subduction Model、Coupled Ocean General Circulation Modelなどの数種類のモデルにより検討されている。

・山岳氷河および氷冠の氷の蓄積量は、地球上の総量の一部にすぎない。しかし、グリーンランドや南極の巨大な氷床に比べて気温上昇に対する反応が早いため、10年〜100年のスケールにおける海面変動に対して重要であると考えられている。Oerlemans and Fortuin (1992)は、1Kの温度上昇に伴う山岳氷河の溶解による海面上昇速度を0.588mm/yrと報告している。

・グリーンランドの気温上昇が、夏季の氷床の溶解を引き起こし、海面上昇に寄与すると考えられている。IPCC(1990a)は、グリーンランドの氷床の溶解による海面上昇速度を0.3±0.2mm/yrと報告している。

・Gornitzら(1987)は、130の検潮器のデータを解析し、過去100年間の海水上昇速度を1.2mm/yrと見積もっている。また、IOOC (1990a)は、過去100年間の海面上昇を10〜20cm、平均速度を1.0〜2.0mm/yrと報告している。

・1990〜2100年の温暖化は、1.7℃〜3.8℃(最適値2.5℃)と予測される。

・1990〜2100年の海面上昇は、15cm〜90cm(最適値48cm)と予測されている(Wigley and Raper, 1992)。

・主に海水の熱膨張と山岳氷河など陸上の氷塊の溶解によって地球規模の海面上昇が生じる。同時に、平均海面の位置は、海流と大気圧パターンの変化により地域スケールでも変化する。Gregory (1993)は英国気象庁の海洋−大気連結型大循環モデルを用いて、毎年1%のCO2濃度増加を仮定し、75年間の時間スケールで、平均海面の変化の地域的な分布を計算している。この研究では、平均海面の変化にはかなりの地域的偏差があるため、地球スケールの海面上昇予測値それ自身は、地域におけるおおまかな上昇量を表しているにすぎないとしている。

 

 

 

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