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文献名:地球温暖化予測情報 第1巻

編集:気象庁 発行:大蔵省印刷局 発行年:1997年

 

本調査に関係する主な内容

・気象庁では全球大気・海洋結合モデル(MRI・CGCM)を開発した。大気大循環モデルの水平構造は緯度4×経度5度、海洋大循環モデルは緯度2×経度2.5度の格子点モデルであり、鉛直構造は大気で15層、海洋で21層を持ち、現実に近い海底地形を持つ。

・大気中のいくつかの温室効果ガスの増加による影響を二酸化炭素濃度に置き換え、二酸化炭素濃度が年率1%で増加する場合の、今後100年間の気候の変化についてとりまとめた。

・大気中の二酸化炭素濃度が年率1%で増加するシナリオは、他の温室効果ガスの増加による影響を含めたIPCCのシナリオのIS92aに近く、気候モデルの国際比較の際に採用された増加シナリオである。

・全球平均の地上気温では、70年後に約1.6℃の上昇がみられ、100年後では約2.5℃の上昇がみられる。

・日本付近における海面水温では、オホーツク海を中心として顕著な昇温域が形成された。これは、二酸化炭素が倍増する70年後に達する以前に、オホーツク海では冬季の海氷の生成がほぼなくなるため、冬季を中心に大きな昇温が生じたことを反映している。

・地球温暖化はエルニーニョに対してあまり大きな影響は与えないことが示唆される。しかし、モデルがエルニーニョの全体像をうまく再現しているわけではないので、確定的な結論を出すには、より一層のモデルの改良が必要とされる。

・全球平均の海面水位の上昇量は、100年間で約20cmであった。今回のモデル結果では、山岳氷河の融解による海への流出と氷床の水収支の変化を考慮に入れていないため、全球平均の海面水位の変化は実質的に水の密度変化でほぼ決まっている。

・氷床の水収支変化が仮に海水の密度変化程度の効果を有すると考えた場合、全球平均の海面水位の上昇量は100年間で40cmとなる。

・海面水位の変化を地域でみると、日本海、地中海、カナダ・ハドソン湾では他の海域よりも海面水位の上昇が大きくなっている。

 

 

 

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