文献名:気候変動監視レポート
編集:気象庁 発行:大蔵省印刷局 発行年:1999年
本調査に関係する主な内容
(1) 世界の気候変動
・1999年の年平均気温は、多くの地域で平年より高かった。特に中国、アフリカ北部等でかなり高くなった。年降水量は多くの地域で平年より多かった。月別にみると、北半球では高温が続いた地域が多かった。南米北部とヨーロッパでの多雨が続くことが多く、その他は少雨が続いた地域が多かった。
・1999年の世界の地上気温は観測史上最も高温であった1998年に比べて低かったものの、年平均地上気温の平年差は+0.45℃で、1880年以降で第6位(タイ記録)であった。
・1998年秋に発生したラニーニャ現象は1999年春に一旦終息したが、その後も太平洋東部から中部にかけての赤道域では引き続き海面水温が平年より低く、1999年夏以降、再びラニーニャ現象になった。
(2) 日本の気候変動
・1999年の日本の天候は、1998年に引き続き年間を通して気温の高い状態が続いたことが特徴である。特に、3月頃(北日本を除く)と8月(北日本中心)〜10月の高温が顕著であった。また、夏から初秋にかけては西日本・南西諸島を中心とした多雨・寡照が目立った。
・1999年の日本の地上気温は観測史上最も高温であった1998年より低かったが、平年値に比べて高い状態になった。日本の年平均地上気温の平年差は+0.96℃で、1898年以降で第4位であった。
・オホーツク海の海氷域面積は1992/93年以降平年値を下回っていたが、1998/99年は6年ぶりに平年値を上回った。
(3) 温室効果ガスの動向
・1999年の大気中の二酸化炭素の年平均濃度は、綾里(岩手県三陸町)で371.3ppm、南鳥島で369.1ppm、与那国島では370.6ppmだった。1997年から1998年にかけてはエルニーニョ現象の影響で濃度増加効率が非常に大きくなったが、1999年には1996年のレベルまで低下した。1997年の全球平均二酸化炭素濃度は363ppmで、産業革命(18世紀後半)以前の濃度に比べ、約30%増加した。
・1999年の大気中のメタンの年平均濃度は、綾里で1840ppb、南鳥島で1790ppb、与那国島では1800ppbで、3地点ともに前年と変化がなかった。1998年の全球平均メタン濃度は1750ppbで、18世紀以前に比べて約2.5倍になっている。1990年代のメタンの濃度増加率は1980年代に比べて減少したが、1998年には全球的に大きかった。