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気象庁は、この計画のうち、フロートデータを収集・解析・提供するシステムの整備・運用、フロートデータを検証する観測システムの整備・運用、そして、海水温予測モデルの高度化を実施することとしています。

気象庁が整備する収集・解析・提供システムにおいては、本プロジェクトで展開された中層フロートからのデータばかりでなく、全球からの海洋データ(中層フロート、ブイ、観測船、商船からの観測データなどGTSなどを通じてリアルタイムで収集されるデータ)を含む大量のデータをインターネットを通じて現業機関・研究機関に提供するとともに、本プロジェクトの中層フロートデータをGTSにより全世界め気象機関にリアルタイムで通報する計画にしています。

 

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図6 ミレニアム・プロジェクトの年次計画

 

6. おわりに

ミレニアム・プロジェクトあるいは国際的なARGO計画による中層フロートから供給される水温・塩分のデータは、海の中の天気図を描くとともに、海洋の数値モデルを動かし、海洋データ同化を可能にします。そして、海洋の振る舞いが大きな影響を与える長期予報の精度の向上につながることが期待されます。

ARGO計画はようやくスタートラインに立ったばかりで、ARGO計画に係わる中層フロートの展開などについて予算措置が講じられた国は、米国と日本をはじめまだわずかな国にしか過ぎません。ARGO計画の成功のためには、国際協力が不可欠であることは言うまでもありません。このため、運輸省(気象庁、海上保安庁を含む)、科学技術庁及び米国のNOAAが主催して「太平洋とその周辺海域におけるアルゴ計画推進のための国際会議」を本年4月13〜14日に運輸省において開催しました。環太平洋の6か国(日本、米国、オーストラリア、カナダ、フランス、韓国)と世界気象機関(WMO)、ユネスコ政府間海洋学委員会(IOC)、北太平洋の海洋科学に関する機関(PICES)など国際機関の代表が参加し、参加各国のARGO計画への取り組みの現状についての報告などがあり、

・日米両国において既にARGO計画推進のための予算が確保され、同計画の実施が始まったこと

・その他の国においてもARGO計画の実施に向けた活動が行われていること

などが確認されました。

今後は、大西洋やインド洋を対象とした同様の会議が開かれる予定です。このような国際協力を進展させ、ARGO計画の大きな目標を1日も早く実現したいものです。

(M. Saiki 気象庁海洋課)

 

 

 

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