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そのため、船が止まらなくても、また、飛行機からパラシュートなどを付けて海に落としても、安全・確実にフロートが作動するような投入システムを作ることも必要です。

このほか、中層フロートの寿命を延ばすための工夫なども求められています。色々な技術的な課題がありますが、関係各国・各機関でこれらの課題を克服するための努力が始まっています。

 

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図5 現在の中層フロートデータの流通

 

5. ミレニアム・プロジェクト

我が国では、新しいミレニアム(千年紀)の始まりを目前に控え、人類の直面する課題に応え、新しい産業を生み出す大胆な技術革新に取り組むこととし、小渕前首相の決断によりミレニアム・プロジェクトを実施することとなりました。このプロジェクトは、夢と活力に満ちた次の世紀を迎えるために、重要性や緊急性の高い情報化、高齢化、環境対応の三つの分野について、技術革新を中心とした産学官共同プロジェクトを構築し、明るい未来を切り拓く核を作り上げるというものです。

事業内容の構築にあたっては、明確な実現目標の設定、複数年度にわたる実施のための年次計画の明示や、有識者による評価・助言体制の確立を図るといった新たな試みを取り入れることになっています。

このミレニアム・プロジェクトの実効ある推進を図るため、2000年度においては、政府予算全体で1,206億円が配分されています。

このミレニアム・プロジェクトの環境対応分野のうち「地球温暖化防止のための次世代技術の開発・導入」のプロジェクトの一つとして、我が国が国際的なARGO計画に参加するための「高度海洋監視システム(ARGO計画)の構築」と名づけられたプロジェクトが実施されることとなりました。

このプロジェクトは、国際的なARGO計画と連携・協力しながら、2004年度までに、地球規模の高度海洋監視システムを構築し、長期予報の精度を飛躍的に向上させることを目標としています。

このプロジェクトの実施機関は、気象庁のほか、海上保安庁水路部、科学技術庁/海洋科学技術センター(地球観測フロンティア研究システムを含む)です。このプロジェクトは、大きく2つのフェーズに分けられます。前半のフェーズである2000年度〜2001年度前半においては、中層フロートの本格的な展開に先立ち必要となる各種技術の確立や準備として、次の5項目の事業を行うこととしています。

・国際協力体制の構築

・フロート展開に先立ち必要な各種技術開発(センサーの精度向上、フロートの効率的な展開手法、一般商船からフロートを投入する装置等)

・フロートデータを検証、また、補完するための観測システムの整備

・フロートデータを収集・解析・提供するシステム及びデータベースシステムの整備

・データ同化に関する研究

これらの活動のため、2000年度には約10億円の予算が計上されています。

後半の2001年度後半〜2004年度には、次の4つの活動を計画しています。

・本格的なフロートの展開

・フロートデータの収集・解析・提供

・高品質データセット、同化データセットの作成

・海水温予測モデル・気候変動予測モデルの高度化

高精度の長期予報を実現するという目的のため、我が国は北西太平洋及びその近隣海域(インド洋等)を中心にフロートを展開する計画であり、2000年度はフロートの性能試験などを目的として、20個程度のフロートを展開することとしています。計画の年次計画を図6に示しました。

 

 

 

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