・フィリピン代表;Dr. Encarnacion
海洋は気象現象に大きな影響を及ぼしている。フィリピンでは、エルニーニョ現象の発生した年には旱魃等生ずる傾向があり、ラニーニャ現象の発生した年には周辺海域で熱帯低気圧の発生が多くなっている。これらによる自然災害を防止するには、海洋状況の詳細な観測を欠かすことができない。Argo計画を継続的に実施していけば、気候変動の把握、自然災害の防止に大きな効果が期待できる。
・日本代表(日本におけるArgo計画への取り組み);佐伯理郎
Argo計画は2004年度までの5ヵ年計画で実施する予定である。まず国際協力体制と観測システムを構築し、観測データの処理・解析体制の整備を経て、長期予報の精度を飛躍的に向上させることを最終的な目標としている。2001年までに準備作業として試験的な運用、各システムの確立を行うこととし、予測モデルの研究・開発を行っている。フロートの展開、データの活用には国際協力が重要であり、各国の協力をお願いしたい。
・NOAA;Dr. Sidney W. Thurston
科学は各種の観測から始まるものである。成功裏に研究成果をあげるのは、各組織間の協力、国際的協力が欠かせない。そのため我々は東京にも事務所を開設した。現在、4種の国際観測網整備を検討しており、Argo計画はそのひとつである。
Argoブイの他国経済水域進入問題が提起されたが、これらの解決のために努力せねばならない。我々は将来的にも他に様々な計画を持っており、グローバルなシステムを段階的に整備していきたい。
(3) 会議の開催状況
1] 全体スケジュール
全体スケジュールは概ね予定のプログラム通りに実行された。午後の議論において時間が不足し、終了時刻を約30分ほど繰り下げた。
2] 参加者
会議への招聘者は、国内招聘者の一部が代理者に変更された他は予定通りであった。海外からの参加者からは、会議の運営と成果について、高い評価が聞かれた。また会議の公開に当たっては傍聴席を設けたところ、一般から約20名の参加者があり、熱心に傍聴された。
3.3 国際会議の成果
国際会議では活発な議論の結果、Argo計画の気候予測への貢献を認識するとともに、高精度で信頼性の高い気候予測は社会的・経済的な観点から太平洋諸国にとって不可欠であることから、太平洋域におけるArgo計画の重要性が確認された。
また、本事業で行われたアンケート調査により、Argo計画についての理解がまだ十分でない国や地域が存在することが認識され、太平洋域の海洋機関・気象機関に対してArgo計画への積極的な参加を広く呼びかける「東京Argoステートメント」(資料3.1.5)が採択された。