この図を見ると以下のような特徴が見られる。
1] 光田・藤井モデルでは、台風の進行方向右側で最大風速が出現している。また、風向に関しては、台風中心に対して対象な分布を示しており、台風中心に吹き込む風は現れない。
2] 傾度風+一般風モデルでは、台風の進行方向に対して右側後方に最大風速が出現している。また、移動に伴う風の影響により、吹き込み角は右側では浅く、左側で深くなっている。
3] 新たに作成したモデルでは、最大風速は台風中心の周りに出現し、特異な高風速エリアは見られない。また、風向は台風中心に吹き込む風が見られる。
6.2 衛星観測値とモデル計算結果の比較
前節の各モデル台風を検証するため、衛星観測による海上風分布と比較を行う。衛星観測による海上風分布を図6.3に示す(図2.8の再掲)。この解析結果は、台風の中心気圧が960hPa〜989hPaのデータを、台風の移動速度毎に分けてとりまとめたものである。(詳細は第2章参照)。
この衛星観測による海上風分布図に合わせるため、以下の条件で各モデル台風の計算を行った。
台風の中心気圧:975 hPa
台風の気圧深度: 35 hPa
最大風速半径 : 50 km
台風の進行速度: 0 km/h、20 km/h、40 km/h
これらの条件で各モデル台風を計算した結果を図6.4〜6.6に示す。
その結果、以下のようにとりまとめられる。
1] 衛星観測データでは、台風の移動速度が遅い場合は、台風進行方向右側後方に最大風速が出現する。台風の移動速度が速くなるに従い、最大風速出現エリアは台風の進行方向に対して右側に現れるようになる。