日本財団 図書館


(3) 地表摩擦の効果

海上風速Vs(r)は、傾度風速に地表摩擦による減衰を考慮して求める。減衰係数G(x)には光田・藤井モデルが採用しているスーパー傾度風を表現するために考慮された次の強調関数を用いる。

062-1.gif

ここに、x=r/r0であり、パラメータk、x0およびG(x0)は台風中心からの距離によって変化する減衰係数を定めるパラメータである。藤井・光田(1992)は7705号と7709号の観測結果から、k=2.5、x0=0.5、G(x0)=1.2を得ているが、台風に固有の未定定数であると考えられる。また、G(∞)の値としては、海面上の風速と傾度風速の比として一般に用いられている2/3を用いている。ここではそれらの値を用いることにする。

 

(4) 風速の非対称性、風向の非一様性の考慮

5.1、5.2節で求めた風速と風向の経験式を用いる。

以上の(1)〜(4)項から台風域内の海上風速・風向が求められる。

 

(5) 新しく作成したモデル海上風の特性

海上風速と海上風向のモデルを図5.10〜5.13に示す。方向別風速分布(図5.10)によると、台風の進行速度が15km/hの場合、進行方向の右方向(90°)で風速が大きく、左方向で小さいことが示される。これは衛星データから得られた図5.3を定性的に表現していることがわかる。

図5.11は半径方向の風速分布を示す。台風中心から見る各方向の風速非対称性について、モデルは衛星データを良く表現するが、衛星データの風速がモデルと比較して弱いことが示される。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION