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ここで、Bは台風中心付近の風向に寄与するパラメータ、Cは半径方向の風向分布形状を表わすパラメータ、Dは動径(角度)方向の風向変化を意味するパラメータである。図5.8に進行速度が10km/h以上((5.5)式)の場合の(5.3)式を示す。

以上より台風域内の海上風向が求められる。図5.9に式(5.3)式から求められる台風域内の海上風向の分布を示す。

 

5.3 新しいモデル海上風の考え方とその特性

 

本節では、前節で得られた新しい知見に基づいて、新しい海上風モデルを提案する。このモデルは、1]気圧分布にShloemerの式、2]傾度風近似、3]Super gradient windを表現する光田・藤井の強調関数、4]非対称性を表現する風速(5.1節)、5]非一様な吹込み角を表現する風向(5.2節)により構成される。

 

(1) 気圧分布

4章ではこれまでに提案された4種類の経験式を検証した。その結果、統計的な精度の違いは見出せなかったが、本研究では取り扱い易さの点からShloemerの経験式(4.4)を用いることにする。

但し、Holland(1980)によると、Schloemerの式は実際の最大風速を小さく見積もるとしており、実際の最大風速とその急峻な分布は、次式のように(4.4)式にAとBのパラメータを導入することにより表現できるとしている。

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