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5.2 台風域内の海上風向を表わす経験式

 

台風域内の風向の特性は第2章にとりまとめた。これによると、吹込み角(等圧線を横切る角)の台風域内の分布特性は、概ね、台風の中心気圧と進行速度によらない、そして、吹込み角は中心付近の方が周辺と較べて大きい(例えば図2.10)、中心からの距離が200kmより外側では、内側よりも、距離による吹込み角の変化が小さくなる(同図)、吹込み角は台風の後方で最も大きく、前方で最も小さい、左側は右側よりもやや大きい(同図)という結果が示された。

この特徴をより詳細に調べるため、方位別の吹込み角分布を図5.7に示した。これによると、約225°の方向で吹込み角が最大であり、それは正弦分布で表わされそうである。吹込み角は中心付近で最も大きく、推定誤差の大きい0-50kmを除外すると、50-100kmにおいて約60度である。中心から225kmより離れると吹込み角は距離により大きく変化せずに安定するということが分かる。

そこで、この分布特性を表現する次の経験式を作成した。海上風の吹き込み角度γ(r,θ)は、これらの衛星データの解析結果から次の式で表わされる。

059-1.gif

ここでrは台風中心からの距離、θは台風の進行方向を基準とする時計回りの角度、r0は台風定数、およびA、B、C、Dは風向分布を定めるパラメータである。

進行速度の遅い台風(10km/h以下)では、

059-2.gif

進行速度の速い台風では、

059-3.gif

が衛星データから推定された。

 

 

 

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