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なお、解析に利用した風向風速全データの観測時刻に対応する台風の中心気圧別、進行速度別の度数分布を表3.4に示す。

 

表3.4 全データの台風中心気圧別、進行速度別の度数分布表

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(3) 解析結果

台風経路と海洋波浪の観測例を図3.1と3.2に示す。図3.1は1994年の台風13号の例である。衛星の観測時刻は8月5日7時22分であり、経路図中に示された台風諸元は6時のものである。太い実線の円は平均風速25m/s以上の暴風域、細い実線の円は平均風速15m/s以上の強風域を示す。

この時の台風の中心気圧は945hPa、最大風速は46m/sであり、大型で勢力の非常に強い台風である。台風は時速約30kmで西北西に移動しており、TOPEX/Poseidon衛星は台風の進行方向を真横に横切って、台風の中心を通って波高を観測した。

この時観測された台風域内の波高分布は、台風の進行方向の左側より右側において波高が高いことを示している。特に中心から約100km離れた領域で波高が15m以上と最も高い。台風中心における波高は周辺よりやや小さいが、それでも10m以上の高い波高である。

図3.2は台風9426号の例である。衛星の観測時刻は9月28日6時54分であり、経路図中に示された台風諸元は6時のものである。この時、台風の中心気圧は935hPa、最大風速46m/sであり、この台風も大型で勢力が非常に強い台風である。

TOPEX/Poseidon衛星はこの時、台風の進行方向と反対向きに、北北西から南南東に向かって、台風の中心を通過し、波高を観測した。この例は、台風の進行方向に沿う断面内の波高分布を示す。この図によると、波高は中心から約100km離れた海域で最も高く(約8m)、台風中心域で小さく約6mの波高を示す。また、進行方向に沿う波高の分布は、中心後方より中心前方において波高が高い傾向を示している。

次に、これら台風時の観測事例を数多く集めて、以下の1]〜4]の観点で台風域内の波高分布を作成し、その特性を解析した。

 

 

 

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