(2) 解析手法
a) 概要
衛星観測により、従来の手法では得ることの難しかった大洋上の波高データを軌道に沿った線上に取得することができる。しかし、衛星から得られる波高データは時間的にも空間的にも極めて離散的であり、事例解析的に幾つかの台風を追いかけただけでは、台風域内の波高の分布特性を捉えることは難しい。そこで、衛星から得られる波高データを、海上風解析と同様に、観測時刻における台風の中心位置を原点とする極座標(角度は台風の進行方向を0度とする)上に分布させ、複数の時刻のデータを重ね合わせて解析することにする。
まず初め、台風が北太平洋のある領域(北緯5〜40度、東経120〜170度)内に存在する期間を求め、この期間内で同じ領域内にあるTOPEX/Poseidon波高データを抽出編集して、台風時の有義波高データセットを作成する。
次に、このデータセットを基に統計処理を行い、台風中心を原点とし、台風の進行方向をY軸にとったXY座標内に、台風の中心示度別、進行速度別の波高分布図を作成した。