第3章 台風域内の波高分布
本章の前半では、衛星から得られた台風域内の波高データを収集・解析することにより、台風域内における波高がどのような空間分布をしているかを調べる。後半では、JWA3Gモデルで台風域内の波浪推算を行い、計算結果の波浪特性を調べるとともに、衛星データを解析して得られた波高の分布と計算結果の分布を比較する。
3.1 衛星から得られた台風域内の波高分布
(1) 使用したデータ
a) 波高データ
波高を測定する衛星搭載の測器には、マイクロ波高度計がある。これまで実施された主なマイクロ波高度計には、GEOSAT-ALT(1986〜90)、ERS-1・ERS-2-RA(1991〜現在)および、TOPEX/Poseidon-ALT(1993〜現在)等がある。
本調査では、NASAのPO.DAACがCD-ROMに編集しているTOPEX/Poseidon altimeter MGDRプロダクトを入手して解析に使用した。データを収集した期間は1992年10月〜1999年12月である。波高データは、衛星軌道に沿ったライン上で測定される。
このプロダクトは波高のみならず衛星軌道に沿った全球の地球物理学的な種々のデータから構成されており、その容量が大変大きい。そこで解析を行う前に、日本付近(北緯5〜40度、東経120〜170度)のデータのみをプロダクトから抜き出して編集を行った。
また、レーダー高度計はKu band(13.6GHz)及び C band(5.3GHz)の2種類の波長を利用して測定しており、本調査では両方とも利用した。