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対応する期間における時係数の相関係数は0.9を越える。

残念ながら、この結果だけではこれまで提示されてきた10年規模変動の構造が約100年間にわたり卓越しでいたと示したことにはならない。第1次・第2世界大戦を含む1949年以前では観測数が相対的に少なく、格子点値の多くはEOF解析を帳した推定値と考えられる。そのようなレコードに対するEOF解析の結果が同じパターンを示すのはむしろ当然とも言える。

1949年以前の期問のみを対象にした場合、図1に対応する時空間構造は北大西洋ではEOF第2モードに現れる(図2)。この場合、第1モードとの寄与率の差はほとんどない。この統計モードが実態を表すものなのか、データセット構築の際に生まれた擬データに過ぎないのか検証されなければならない。

ここでは、独立なデータセットとして大陸上も海洋上も含む地表面気温データセットから検証する。このデータセットは概ね「観測」に基づいており、観測がなければ格子点値は欠測となっている。図1の時係数から、1949年以前の正と負の極値をとる年をカテゴリー分けし、それぞれ異なる10年ほどを選んだ。この場合、第1次世界大戦中の年は除外している。2つの合成アノマリの差を示したdifference map(図3)は、海洋上では図1とほぼ同じようなパターンを示しており、また大陸上の気温偏差とも整合している。この結果は、COADSから示された大西洋10年スケールに伴うcoherentな空問構造が1949年以前でも卓越していたことを示唆している。しかしながら、1910年代前半の時空間構造は未知のままであり、期間全体に対する割合は小さいものの、全体の精度向上のためには少しでも多くの観測データの復元を必要としている。

 

4 終わりに

本来、GISSTのようなデータセットは、大気大循環モデルの境界条件などに使用されることが想定されている。観測事実として長期変動の実態を掴むという目的にはより多くの注意が払われるべきと思われる。

 

 

 

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