図−2 気温及び海面水温の月平均値に関する南方定点(TANGO)とCOADSデータの対比。1951〜1980年の6〜10月のデータを使用。
TANGOデータとCOADSデータとを比較するための散布図が、図−2a及び図−2bである。両者の間の差異は、海面気温ではあまり大きくないか、気温では無視できない程度のずれが存在することが、認められる。
TANGOデータに対するCOADSデータのずれの大きさが、通報数の多少に依存しているかどうかを調べることは、興味のあることである。【(COADSデータ)−(TANGOデータ)】の値を通報数に対してプロットしたのが、図−3a及び図−3bである。気温と海面水温の両者ともに、通報数に対する明らかな依存性は認められない。
【(COADSデータ)−(TANGOデータ)】は、30年間の6月〜10月について平均すると、気温について0.52±0.08℃、海面水温について0.16±0.09℃である。気温データの差異は看過できない位の大きい。この原因については、船体や日射の影響がCOADSデータに残存していることが有力である。
4 気候ノイズの算定手法
月平均気温などの時間平均データには、もとの時系列データの日々の不規則変動に起因した統計的誤差が、不可避である。これは、陸上固定点でも起こるノイズ(気候ノイズ)であり、長い時間スケールの現象(気候シグナル)の検出の障害となる可能性がある。一般に、標本サイズがnの平均値を算定する場合、平均値の標準誤差σmは、
σm=σ/√n …(1)
ここで、σはもとの時系列データの標準偏差である(例えば、Ang & Tang, 1977)。
空間・時間平均のCOADSのboxデータの場合、このデータを構成する個々のデータの時間的・空間的偏在が、ノイズを拡大する。例えば、気温データについて、ある月の上旬に限定して、北東象限に集中した個々の観測データから月平均boxデータが構成されているとする。そして、翌月のboxデータは、月の下旬に南西象限に集中した個別観測データから構成されていたとする。