日本財団 図書館


ここで、Nino3.4SST高温年として採用した年は1972、1982、1986、1987、1991、1997の6年間であり、気象庁の定義によってエルニーニョ年とされている。低温年として採用した年は1970、1973、1975、1988、1998、1999の6年間であり、これも気象庁の定義によるラニーニャ年である。1998年前半はエルニーニョ期とされるが、ここでは台風期が年の後半であるため、1998年をラニーニャ年として採用した。表中の数値は気象要覧(気象庁)から引用した。気象要覧に数値の掲載のない覧には(−)を付した。

Nino3.4SST高温期(低温期)に日本に被害を与えた台風は15個(11個)である。また、被害額の合計はラニーニャ年に比較してエルニーニョ年は3倍以上にもなる。エルニーニョ年(ラニーニャ年)における台風が30N線を通過する時の中心示度の平均値は956hPa(963hPa)、最大風速の平均値は37m/s(32m/s)であり、エルニーニョ年には、ラニーニャ年に比較して勢力の強い台風が日本近海に襲来する傾向にあることが伺える。

 

055-1.gif

図2.3.6 ITCZ東部の対流活動が(1)活発な年、(2)不活発な年の上位6年間の台風経路図 ここでは台風が970hPa以下の強度の時のみ示している。図中の○は各台風がその生涯で中心示度の最低値を記録した場所であり、○が大きいほど中心示度は小さいことを示している。

 

Chan(1985)等が指摘するように確かにエルニーニョ年には北太平洋西部の台風の発生数は少なくなる。しかし、日本に被害をもたらす台風はむしろ多くなり、台風による被害額も大きくなることは非常に興味深い事実である。

図2.3.6は西太平洋熱帯域東部の対流活動が(1)活発な年と(2)不活発な年の台風経路図である。前者はエルニーニョ年であることが多いため、東部海域において台風が多く発生・発達する傾向にある。また、気候利用研究会(1999)が指摘するように台風経路の傾向として、活発年は東部太平洋からフィリピン付近を通過して南シナ海に西進する経路、台湾や沖縄東方の25-30N付近で転向して西日本付近へ北上する経路が多いが、不活発な年にはむしろ20N付近で転向して日本の南海上を東進する経路の割合が高い。この特徴は中心気圧が970hPa以下の勢力の時に限らず、それ以上の場合にも見られる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION