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OLR偏差は東進しており、40〜50日周期で振動していることがよく理解できる。図2.2.25より、ほとんどの熱帯低気圧は対流活動が盛んな時期に形成されていることが明かである。Liebmann et al.(1994)やMaloney et al.(2000)もMJOのフェーズにより熱帯低気圧の活動が大きく異なることを示している。

 

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図2.2.25 15Nにおける30-60日周期成分のOLRアノマリーと10-20Nにおける熱帯低気圧の位置の経度−時間断面図ハッチを付けた部分がOLRアノマリーの負値 Nakazawa(1986)より引用

 

MJOが熱帯低気圧の発生に大きく関わっていることは事実である。しかしながら、MJOの成因や年変動、数十年変動の特徴など未解明な部分が多い。これらの研究が進歩するにつれて、熱帯低気圧の変動についても明らかにされると期待されている。

 

2.2.7 まとめ

以上の文献による調査結果を以下にまとめる。

(a) 北大西洋のハリケーン

北大西洋において発生するハリケーン活動はENSO、成層圏QBO、SST、サヘルの降水など周囲の環境要素の変動に大きく影響を受ける。各環境要素が、数年スケールあるいは数十年スケールの熱帯大西洋の循環場を変化させることにより、特に風の鉛直シアーが強い年にはハリケーンの発生数が少なく、その発達が抑制される。また、NAOに代表される中緯度の気圧パターンの変動がハリケーンの経路に影響を及ぼしている。この影響で、ハリケーンが北上しにくい年にはメキシコ湾岸で被害が大きく、転向して北上する年には東海岸で被害が大きくなる。

(b) 北太平洋西部の台風

エルニーニョ年には台風の発生数が平年に比較して少なくなり、台風の発生位置が東に変位する。成層圏QBO-西風偏差の年には、台風活動が活発であるとの報告があるが、双方の関係はハリケーンの場合に比較してあまり顕著ではない。また、150E以東の海域のSSTには数年スケールあるいは数十年スケールの変動がある。この変動により、例年西部太平洋に位置する対流活動の中心が変位し、台風の発生位置あるいは発生数が変化する。また、MJOに代表される季節内振動が台風の発生に深く関わっている。MJOの成因等が明らかにされれば、台風活動の変動の理解が進むと思われる。

 

 

 

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