図2.2.23はTOとBEの年間発生数のパワースペクトル図である。TOは2.7年、5.5年、36-61年に、BEは7.8-9.2年にスペクトルピークが存在する。この結果に関して彼らは、TOについてはQBOやENSOのリズムと一致する高周波が支配的であると述べ、対照的にBEの場合には11年および22年サイクルの太陽活動との関連性を指摘している。
北太平洋西部の台風に関してはこのような研究例はないが、比較的高緯度において発生する台風に関しては、中緯度循環の影響を受けて発達しているものが多いと考えられ、中緯度変動と台風活動の関連性の興味深い研究結果が得られる可能性はあると思われる。
2.2.6 季節内振動と台風活動
Madden and Julian(1971)は、熱帯太平洋やインド洋の海面気圧、東西風、多高度の気温の間に41〜53日周期の大きなコヒーレンスが存在することを示した。これをきっかけにMJO (Madden-Julian Oscillation)の発見に至った。
図2.2.24 MJOの赤道断面の時間変化の模式図 対流活動の活発域が東進する様子を示している。各図の下段は海面気圧偏差の分布 Madden and Julian(1994)より引用
図2.2.24はMJO活動の赤道断面の時間変化を模式的に示している。インド洋のどこかで発生した大規模な対流セルが、インド洋から太平洋を東進する。対流セルの移動に伴って、海面気圧偏差(各図の下部)および東西風の分布も移動している。また、対流活動はインド洋や太平洋西部において活発であるが、太平洋東部や大西洋ではあまり顕著ではない。
Nakazawa(1986)は、人工衛星から得られた外向き長波放射(OLR, Out-going Long-wave Radiation)データから30〜60日周期変動を抽出し、熱帯低気圧の活動との関係を調査した。図2.2.25は10-20Nにおける熱帯低気圧の位置と15Nにおける30-60日周期成分のOLR偏差の経度−時間断面図である。ハッチを付けた部分がOLR偏差の負値、つまり対流活動が盛んな場所である。