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図2.2.21にNAOとハリケーン活動の関係を示している。Strong-NAO期(左図)には、中緯度ジェット気流が北上し亜熱帯高気圧の中心が北東偏する。この結果ハリケーンは転向して高緯度に至る。反対にNeutral-NAO期(右図)には、ジェット気流が南下するとともに亜熱帯高気圧が南西偏し、ハリケーンは転向しないため高緯度に北上する頻度が小さい。

 

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図2.2.22 7月における北大西洋振動(NAO)の経年変化 太線は10年移動平均値 Elsner et al.(2000)より引用

 

図2.2.22に7月におけるNAOの経年変化を示す。太線は10年間の移動平均値を示している。NAOには大きな数年周期の振動とは別に、数十年周期の変動が存在する。具体的には、1920年代半ば〜1960年代初めがStrong-NAO期に相当し、それ以外の期間はNeutral-NAO期である。実際にNeutral-NAO期には強いハリケーンは北上せず、すべてメキシコ湾岸に上陸した。対称的にStrong-NAO期には強いハリケーンのほとんどは北上し、合衆国東岸に影響を与える結果となった。メキシコ湾岸と合衆国東海岸の強大なハリケーン活動の逆相関関係は北大西洋の大スケールのSLPパターンによって説明される。

Elsner et al.(1999)は北大西洋のハリケーンの成因に着目して、その活動の変動を調査した。彼らは、ハリケーンをその成因からTropical Only Hurricane (TO)とBaroclinically Enhanced Hurricane (BE)の2種類に分類した。前者は文字通り赤道付近の対流活動が盛んな地域において発生したハリケーンであり、後者は中緯度の傾圧不安定の影響をうけてハリケーン強度に発達したものである。例えば、北から伸びるフロントシステムの南端において生じたハリケーンはBEと分類される。また、中緯度上層のトラフの近接により、上層のOutflowが促進される結果となった熱帯波動擾乱がハリケーン強度に達すれば、BEと見なされる。BEはやや高緯度で発生するハリケーンに多く見られる特徴である。

 

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図2.2.23 成因の異なるハリケーン(TO、BE)の年間発生数のパワースペクトル TO、BEの説明は本文参照 Elsner et al.(1999)より引用

 

 

 

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