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北太平洋西部熱帯域では、特に150E以東の10-20Nにおいて2〜4年毎に海面水温の変動が生じている。この海域が高温の年には、例年フィリピン付近に位置している対流活動の中心が北東に移動し20N付近の亜熱帯域に達する。この結果、熱帯低気圧の発生位置が変化する。図2.2.15(a)(図2.2.15(b))は同海域のSSTが高温年(低温年)の熱帯低気圧の発生位置を示している。大きな黒丸は台風の発生位置、小さな黒丸は弱い熱帯低気圧の発生位置を示している。低温年の台風は、8-16Nの低緯度海域において多く発生する一方で、高温年には15-25°Nの海域において多くの台風が発生している。これに関しては、高温年には太平洋西部の暖水塊が北上し、亜熱帯海域において第2種条件付不安定(CISK)が効率的に作用することによって、熱帯低気圧の活動が活発化すると解釈されている(Nitta, 1987)。

 

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図2.2.16 北太平洋西部の台風発生数の経年変化棒グラフは年々の発生数折れ線は平滑化された発生数 Yumoto et al.(2001)より引用

 

Yumoto et al.(2001)は7月〜10月における台風活動の数十年変動を見出した。彼らは、図2.2.16に示すように、1961〜1972年および1986〜1994年を台風の高頻度期、1951〜1960年および1973〜1985年を台風の低頻度期と定義して各期間におけるSST分布の差を解析した。その結果、高頻度期には低頻度期に比較して、北太平洋西部熱帯域の東側海域(例えば0-20N、150E-180)において、海面水温が0.2℃程度高いことを示した。同時に、高頻度期のSSTの高温域は850hPaの相対渦度および200hPaの水平発散の正偏差域に相当し、高頻度期は同海域が台風発生・発達に相応しい環境であることを示した。

 

 

 

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