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これらの図は、北大西洋と南大西洋のSSTがほぼ25〜45年周期で交互にシーソーのように変動していることを示している。例えば1926年〜1970年は北大西洋のSSTが高く、南大西洋が低い。1971年〜1994年はそれぞれ逆位相となっている。

表2.2.1に大西洋のSST数十年変動に基づいてハリケーンの活動(発生数、強度、被害額)を整理した。表の右端にwarm north期(WN期、北大西洋高温・南大西洋低温)とcold north期(CN期、北大西洋低温・南大西洋高温)における値の差の有意性を評価した。強いハリケーンの発生数はそれぞれ2.7個/年、1.5個/年であり、その差は有意水準99%レベルで統計的に有意である。つまり、WN期にはCN期に比較して、強いハリケーンが多く発生することを示している。ハリケーン日数、北大西洋南部における熱帯低気圧の発生数、カリブ海におけるハリケーン発生数についても同様にWN期に有意に多くなっている。

 

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図2.2.14 北大西洋のSST高温期(1954-1969、実線)、低温期(1970-1987)におけるカリブ海の低緯度の平均的な風の鉛直プロファイル 図中の矢印は熱帯擾乱の平均的な西進速度を示す。 Gray et al.(1996)より引用

 

Landsea et al.(1999)によると、北大西洋のSSTダイポールパターンは対流圏の循環を変えるようである。図2.2.14はWN期(1954-1969、実線)、CN期(1970-1987、破線)におけるカリブ海の低緯度の平均的な風の鉛直プロファイルを示している。WN期(CN期)には対流圏下層の東風が弱く(強く)、対流圏上層の東風偏差が強化(弱化)されるので、風の鉛直シアーが小さい(大きい)。図中の矢印は熱帯擾乱の平均的な西進速度を示す。CN期における大きな風の鉛直シアーによって、熱帯低気圧は鉛直構造を引き裂かれ、発達を妨げられると解釈されている。つまりWN期にはハリケーン発生域の風の鉛直シアーが弱まりハリケーン活動が活発になる。CN期には反対に、貿易風・上層の西風がともに強化され、風の鉛直シアーが強まりハリケーン活動が抑制される。Gray et al.(1996)は、以上の現象について、エルニーニョ現象時の循環パターンに類似していると指摘している。

 

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図2.2.15 西太平洋東部のSSTが(a)高温年(1978、1981、1984)、(b)低温年(1980、1982、1983)の6〜8月における台風(大きな点)、弱い熱帯低気圧(小さな点)の発生位置 Nina(1987)より引用

 

 

 

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