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図2.2.10 QBOが熱帯の対流活動に及ぼす影響の模式図 上図は赤道付近における200hPa面、下図は鉛直断面の循環を示している。左側(右側)はQBO東風(西風)偏差年である。メカニズムの説明は本文を参照 Gray(1992)より引用

 

一方、QBOが西風偏差の場合は、成層圏の温度が高温となるため、右下図のように赤道圏界面が低下する。そのため右上図のように赤道域上部対流圏は風の収束域、北緯・南緯12°付近のモンスーン収束域における上部対流圏では発散域となり、モンスーン活動・熱帯低気圧の活動が活発化する。

 

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図2.2.11 6〜9月における対流圏上部(200hPa)および成層圏下部(50hPa)における東西風速の緯度分布 ハッチはQBOの各フェーズ年に風の鉛直シアーが弱い緯度を示す。 Gray(19921より引用

 

もう一つの提案を図2.2.11に示す。図には6〜9月における対流圏上部(200hPa)および成層圏下部(50hPa)における東西風速の緯度分布を示している。年々変動が比較的小さい200hPa高度の風に対し、50hPa高度の風は準2年周期で変動している。従って、対流圏上部と成層圏下部の間の風の鉛直シアーの年々変動が存在する。すなわち、弱い風のシアーは、QBO-東風偏差の年には赤道域、QBO-西風偏差の年には北緯・南緯10°付近に現れる。対流圏上層と成層圏下層の風の鉛直シアーが大きい場合には、熱帯低気圧の鉛直構造を裂くことによって、その発達を妨げる効果があると考えられており、その結果、成層圏−対流圏の風の鉛直シアーが大きい(小さい)QBO東風偏差(西風偏差)の年には熱帯低気圧の発達が抑制(促進)されると考えられている。

以上、統計的な解析から、QBO西風偏差の期間にはQBO東風偏差の期間に比較して熱帯低気圧の活動が活発な傾向にあることが分かっている。これについて成層圏−対流圏の風の鉛直シアーや赤道域対流圏上部の通気性などの仮説が提案されているが、物理的なメカニズムは未だ明らかにされてはいない。

 

 

 

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