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気候利用影響研究会(1999)は、台風の存在数の主成分分析結果から、エルニーニョ年の夏季には台風は発生後西北西進してフィリピン〜台湾方面へ向かいやすく、秋季には転向して日本に接近するものが多いことを示した。また、Matsuura et al.(1999)は、大気海洋結合モデルにより、エルニーニョ(ラニーニャ)年には北太平洋西部赤道域の500hPa高度において低気圧性(高気圧性)の風の偏差となるため台風は西進(北上)しやすいことを示した。

以上のように、北太平洋ではエルニーニョ年に台風発生数が減少する傾向にあるが、北大西洋のハリケーンの場合に比較して減少の程度は小さい。むしろ、北太平洋西部の対流活動の中心位置が変化することなどにより、台風の発生位置や移動経路が変化することが大きな特徴と言える。

 

2.2.2 成層圏QBOと熱帯低気圧の活動

ここでは、赤道成層圏における準2年周期の東西風振動(QBO, Quasi-Biennial Oscillation)と北大西洋および北太平洋西部における熱帯低気圧の活動の関係についてとりまとめた。

Gray(1984)はQBO-西風偏差年においては 東風偏差年に比較して北大西洋のハリケーン活動が活発であることを示した。図2.2.8は北大西洋のハリケーン日数の経年変化を示している。この図から明らかなように、30hPa高度の風が西風偏差の年には東風偏差の年よりもハリケーン日数が多い傾向にある。

 

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図2.2.8 ハリケーン日数の経年変化 各ヒストグラムの頂点の数値は日数で、太いヒストグラムは30hPaが東風偏差の年 Gray(1984)より引用

 

 

 

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