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エルニーニョ時の東太平洋赤道域における活発な対流活動に伴って起こる対流圏上層(200hPa)のout flowパターンは、図2.2.5下図のようにカリブ海や大西洋熱帯対流圏上層の西風偏差を強化する。この結果、カリブ海や大西洋西部の200hPaの高気圧偏差循環は減じられ、これらの海域はハリケーンの発達に好適な条件ではなくなる。

大西洋ではエルニーニョ現象によって大気の循環場が変化し、ハリケーン活動が抑制される。つまり、エルニーニョ現象時には太平洋東部を対流上昇域とするウォーカー循環が励起し、上昇域の東側にあたる大西洋赤道域では下層で東風、上層で西風偏差の循環場となる。特に上層の強い西風偏差によって大西洋赤道域の風の鉛直シアーが増大し、対流圏上層の高気圧性偏差循環が失われる。その結果、北大西洋ではハリケーンの発生・発達が抑えられる。

 

(b) 北太平洋西部の台風の場合

次に、エルニーニョ現象が北太平洋西部の台風活動に及ぼす影響をまとめた。Aoki(1985)によると、北太平洋西部ではエルニーニョ現象時には台風発生数が25個/年となり、非エルニーニョ年の28個/年に比較して少ない。Chan(1985)はエルニーニョ現象の前年と当年の台風発生数を比較し、1985年までのエルニーニョ年のうち、1976年を除くすべての年の台風発生数が前年よりも減少していることを示している。

 

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図2.2.6 エルニーニョ年(左)、ラニーニャ年(右)それぞれの前年(上)・当年(下)における台風の発生数偏差の分布 等値線は0.5個/年毎 統計的に有意な偏差の地域にはハッチ(95%または90%)が付されている。 Chan(2000)より引用

 

 

 

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