○ 医療費の軽減について
ロンバルディア州で、興味深い計画を立てている。1997年に、1]インハレーション(吸入)を行った子供と、行わなかった子供に対して処方箋の中で使われた薬品の量、2]インハレーションを行った子供達が、その前にインハレーションを行わなかった時に、処方箋の中に書かれた薬の量を比較したところ、呼吸器系に対して処方箋に書かれた薬品量の約30%が、軽減されていた。抗炎症剤・鎮痛剤として使っている薬の量が、泥治療を行った時にどれだけ変化してくるか、同じような分析を関節系統の患者さんにも行っていきたい。
○ 予防医学について
予防・治療・リハビリの中で、温泉治療は、現在まで治療のために使われてきた。これからは、リハビリに対しても温泉療法が使われていくと思う。予防に関しては、いろいろな分析モデルが必要になってくるし、対象となる患者さんの数も非常に多くの方を対象にしていかなければならない。その方達が、健康な状態から追っていかなければならないということで、そのコストは、投資としては難しいものであると思う。
Q:イタリアの大学に、温泉のカリキュラムがあるか?
A:通常、医学大学では6年間の課程があり、その後4年間の専門コースで、温泉治療について学ぶ。昔は「医学的なハイドロジー」と言っていたが、現在は「温泉医学」という呼び方になっている。
4年間で、温泉資源の科学的・物理的特性、温泉資源をどのようなものに適用するか、症例に適用できるか、8つのグループのどこに温泉治療が適用できるかを学ぶ。温泉治療の組織的な勉強、統計的な勉強をする。
・1年間に6〜7のコースがあり、1コースが20〜70時間位を要する。理論と実習を400時間ずつ、1年間に800時間勉強する。毎年、1年の終わりにテストがあり、最終年はテストの外、論文、教授との口頭弁論がある。理論の中で第1年目は、水の科学的特性に対する理解を深め、4年目ではリウマチ症状を学ぶ。いずれも学士課程でも習うことだが、温泉治療という観点から、更に掘り下げた内容の勉強をする。
イタリアの大学でよく使われている教科書は、マンダサメ・メッシーナ博士、ランベルト・グラティロッティ博士が編修したもので、それほど最近のものではない。法律改正前は、イタリアでも温泉治療が批判の対象になっており、興味が減少していた時期があったが、今後はテキストブックもかなり良いものが出てくると思う。