Q:足のリンパの回復にも効果があるか?
A:2つのことを区別しておかなければならない。動脈の血液循環に対しては、有効な効果をもっている。関節のミクロ循環に対し、ファンゴの効果はポジティブなものである。しかし静脈系(特に下肢)への直接のファンゴのコンタクトはポジティブなものではない。静脈系リンホの排出に関しては、ネガティブになると思う。我々は静脈系疾患に関しては、温泉水のポンプ作用を利用して症状を軽減する。
Q:熟成したファンゴの効果は、藻によるものか?
A:熟成において、ミクロ環境としてヨウ素・臭素が必要であるが、それが無いところで藻が生育するかは、他の温泉水を使って実験していないので、分からない。温度が重要な要因である。熟成時80℃にするとそこで生き残っているものは少ない。40℃にすると現象が異なり、使用できるヨウ素が少なくなる。30℃では科学的な変化は起こらない。
Q:日本では有機の泥をモールと言い、ファンゴとは区別していたが、イタリアでは全てファンゴと呼ぶか?
A:イタリアでファンゴという言葉は泥という意味。実際にこちらで呼ばれているファンゴを示す専門用語ではない。専門用語として使っているのは「ペロイ」で、その中に有機質のもの、無機質のもの、ミックスしたものという分類がある。通常ファンゴと呼ぶのは、ミックスしたものである。
Q:法律が改正され、このようなイタリアの動きは、予防医学として温泉を取り入れようとしているということか?国をあげてやる以上、医療費が下がる根拠があるのか?
A:1ヶ月半前に承認を受けたので、その効果が出るのはこれから数年先であると思う。イタリアでは医師の処方箋をもとに患者さんそれぞれがリハビリ治療をほぼ無料で受けられる。但し、チケット料は7万リラ(日本円で約300円)である。
実際リハビリは、フィジオテラピーの医療施設が行っていたが、需要が多く、必要性にほとんど応えていなかった。フィジオテラピーは、機械・レザー・超音波・短波・衝撃波を使ってするもので、マッサージや水中運動は、あまり行なわれていなかった。その結果として、長い時間待たされてリハビリが必要でない時期に至ってしまうか、あるいは民間施設にお金を払っていくかという状態になっていた。
法律の指針は、イタリアには約300軒ほどの温泉施設があって、そこには温泉水を使ったプールがあり、医師・マッサージ師・オペレーターがいるのに、どうしてそういうものを使わないのかということ。この法律改正が、実際我々が望んでいたような成果を、ここ数年のうちに、もたらしてくれることを期待している。