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○質疑応答(日本の医師からの質問)

Q:ファンゴの特異的な作用の話の中で、藻の効果について再度伺いたい。

A:出発点に戻ると、アバノの粘土をドイツの患者さんが自国へ持ち帰り、異なった温泉水でファンゴにしたところ、効果が違ったということがあった。

アバノの湖から持ってきた粘土を温泉水に混ぜ、即座に使った時は、効果がなかった。それによって我々は、2つの要素(温泉水と泥)を混ぜ、ある程度の期間寝かせることで、何か科学的・物理的・生物学的な変化が起こっているのではないかと考えた。

考えられる全ての種類の藻を調べ、どのような生成サイクルをたどるかを確認したところ、ファンゴの粘性度合いが非常に大きくなるのは、ある種の藻が繁殖した時であるという、相関関係が分かった。

・6ヶ月の間でファンゴが可塑性・粘性・吸水性を変化させる時、その一番の特徴として、“リアトメイ”(藻の一種)の繁殖が盛んな時であることが確認され、サルファグリコ脂質が皮膚を通して透過していると考えられた。軟骨の辺りの新陳代謝されたものを取り除く様子が見られた。

リアトメイを含んだファンゴと、含まないファンゴの2つのグループに分けて比較テストをしたところ、リアトメイを含んだグループに、インスリン様増殖(成長)因子(IGF)の増大が見られた。これは軟骨の保護物であるが、比較して強く見られた。それによって、いろいろな研究及び実験が始まり、この観点から炎症に対する効果、軟骨の劣化に対する効果の研究が進められている。

熱の刺激が重要だと考えられるが、第一のグループでは、何か別の作用があると思われる。これから動物試験に移り、皮膚を透過しているか確認していかなければならない。

我々の州は、観光宣伝に年間1億円ほど使っているが、科学的研究のためには、500万円程度しか使えない。これでは年2回の実験しか出来ず、研究の重要性を訴えている。非常に長くて大変な道のりになると思っている。

Q:アバノで醸成しているファンゴが重要ということか?例えば、別府では作れないのか?

A:ホテルの経営者は、「アバノでしかできない。」と言うが、医者として研究しているものとしては、展開するにあたり、科学的な研究をもとに別の場所でも違ったものができるかもしれないと思う。それがアバノで使用しているものより更に良いものであるということもあり得る。

 

 

 

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