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4] その他の温泉治療

・アバノでは、外にも血管関連の症状に対し、特に下肢部の静脈関係(主に女性)に対して、温泉治療が行われる。ジャグジーバスでのマッサージ、温泉プール内にいろいろな通り道を設け、深さや温度を変え、皮膚に対するコンタクトを変えたコースを作り、そこでミクロマッサージのようなものが皮膚の表面に対して行われる。

・もう一つの使用方法が、吸気である。設備を使い、非常に小さな粒子にする。100ミクロンが上部の呼吸器系部分、1.3ミクロン位までをエアロゾルとして、下部の呼吸器官に使用している。上部の器官に対しては副鼻腔炎、下部に対しては喫煙者の気管支炎などの症状に有効である。

他の温泉地の硫黄成分が強い温泉水は、胸のたんを分解する力を持っている。別府の温泉の多くが硫黄泉であるので、将来にわたりこういう使い方もあるのではないか。

 

5] イタリアの温泉治療

・イタリアの温泉治療は、1919年から医療行為として認められている。2000年10月4日、81年ぶりに温泉に関する法律が改定され、温泉水・温泉資源の利用が、リハビリテーションの軸になるとうたわれている。(外傷、整形外科手術、脳血管、呼吸系、心臓の循環器系等に対するリハビリ)。これにより、新しい温泉治療の地平線が見えてきた。スポーツ選手等が、外科手術後、水中でのリハビリテーションを行う重要性が増した。

・厚生省はこの4年ほどの間に、日本円で何億円という資金を使い、温泉治療による疫病研究センターを設置した。3年間で15,000人の患者さんを対象にして実験を行い、豊富なデータを収集している。そこでは、長期間この治療を行うと、いろいろな症状が軽減し、薬学的な治療の必要性が減少したという結果が出ている。

薬物の使用が減少することは、薬品業界にとっては良いことではないかもしれないが、我々の国では基本的なことである。温泉治療は自然の治療であり、副次的にもたらされる他の病状を軽減することができるため、非常に重要なものと考えられている。但し、温泉治療にも当然二次的な効果や使用してはならない症例もある。

 

 

 

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