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3] 泥療法について

・厚生省が泥治療を認めている2つの症状は、骨・関節系統と筋系統の病気であり、中年・老年の患者が多い。泥治療は慢性の病気において認められており、炎症などの急性の症状には認められていない。

・我々の施設では、まず医師の診断があり、どのような治療が必要か、使ってはいけない症状はどういうものかを判断する。

・通常47℃〜48℃位の温度で温泉泥を塗っていく。治療時間は約15〜20分で、これは医師の処方箋によって決められる。シーツのようなものをかぶせ体を覆って治療をすると、約1.5リットル位の水分発汗がある。その後、オゾンを加えた温泉水で泥を落とす。38℃の温度で10分ほど入浴し、最後にマッサージを行なう。

・通常、温泉治療の1サイクルは12回。最近の研究では、効果をあげるために1年にだいたい2回(3月か4月に1回、9月か10月に1回)行なうのが良いといわれている。

・効果として、骨・関節系の痛みの軽減、関節系統の機能の回復があげられる。骨・関節系にファンゴの治療が良いということに関して、3つの作用があると考えられている。1つは熱。熱が骨・関節部分の血管を拡大させ、新陳代謝による老廃物を除去する。2つ目に適応シンドローム作用(1990年に書かれた理論;サーマルストレスが肉体組織の反応を呼び起こす)。コルチゾン(抗炎症性)、痛みに対するエンドルフィンの増大をもたらす。

この効果は、温泉泥だけに見られるものではなく、サウナや他の温泉治療でも可能と思われるが、現在、ファンゴだけの科学的・物理的作用による効果があるか、アバノの科学リサーチセンターにおいて、ファンゴの中に育成する藻の作用を研究している。そこで“リアトメイ”という種類の藻が発見され、皮膚を浸透していく脂質を増大させる特性があることが判明した。

・骨・関節症の病状に関しては、機能の低下を回復するため、マッサージを行う。アバノでの治療の大きな特徴は、多くの要因からアプローチをかけ、患者さんに対し、いろいろな面からケアを行っていくということで、治療期間は通常2週間となっている。

 

 

 

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