それを前提にアバノで行われている温泉泥の治療を別府で始めるとすれば、どういうことから始めればよいか?現在ある設備に何を加えれば、ファンゴの美容等ができるようになるのか検討してみたい。
(甲斐プロジェクトチームリーダー)
実際アバノで治療を受けたことがあるが、アバノでは各ホテルに医師が常勤し、ファンゴでの治療や美容ができる個室を沢山持っている。
フランスのエクスレバンでは、ホテルは宿泊のみで、治療・美容の施設に出掛けて行くシステムであった。
Q:アバノでは、なぜ今のような体制になったのか?
A:(ファブリ博士)
アバノには100軒ほどのホテルがあり、その全てが治療用設備を持っている。これはイタリアの他の温泉地では見られないことで、他の地域では一つの大きな温泉治療センターがあり、その周りにホテルが建っている。
個々の部屋を持っている理由の一つに工程がある。ベッドに横たわり泥を塗って、シャワーを浴び、浴槽に入る。その後、ベッドに寝てリラックスする。温泉の効果により発汗作用が続くので、このような工程を一気にするため、一つの部屋で行っている。
治療の目的から個室で行った方が良いということと、患者に対するイメージの問題。治療とリラクゼーションを一緒に行っていく上で、大きな部屋に大勢の患者さんを入れるのは、あまり良くないのではないか。
温泉治療は標準化したものがあり、それにもとづいて行うが、治療の面でもホスピタリティーの面でも、その人に合ったものを、個人化した形でやっていくことが、個室を使う理由の一つになっていると考える。
(鶴田コーディネーター)
システム上で、エステ用の温泉泥が使えるようになった場合、現況のホテルで現実的に出来るか、新しい施設がいるか。全体の治療センターがいるのだろうか?
Q:日本の温泉泥は硫黄分が多く含まれているが、藻が生える可能性はあるか?
A:(ファブリ博士)
昨日、いろいろなタイプのファンゴを見た。地質を含めた科学的・物理的分析を行ない、その中でどの温泉水と泥が藻を生やし、ファンゴを作る上で最適な組み合わせになるかを考えなければならない。
アバノでは、水は85℃〜87℃で湧出するが、粘土と温泉水を混ぜ、藻を生育させる時の温度は55℃である。例え硫黄分が強い温泉水であっても、藻の生育を阻害するものではない。但し、そこでどのような藻が生えるか、どのような効果があるかを分析していかなければならないと思う。