日本財団 図書館


・私は、硫黄泉水のインハレーションと、皮膚に対する温浴で利用するのが良いという印象を受けた。これは出発点として実行しやすい。やり方が簡単で、組織も出来ていると思う。温泉水はすでにあり、後は設備(エアロゾルや適切な浴槽)を作ること。この種の治療に関して医学的根拠及び裏付けがすでにあり、第一段階として実施可能なのではないか?この種の治療に対する医者・オペレーターの教育も難しくない。迅速に出来ると思う。

・第2段階として、組織的にも困難で、大きな財政投資になると思うが、温泉泥及び温泉水を関節系統に使っていくことが挙げられる。対象とする病気がどれほど頻繁に人々の間であるかを考えてみると、関節炎は、年齢が経過するにつれて出てくる病気であり、日本は長寿国なのでこれに対する治療はそれなりの需要があると思う。また、喫煙者が多い=呼吸・肺関係の障害も多く見られるだろう。

・アバノで実践しているような泥治療をするには経済的出費が大きく、プロジェクトも3つの方向性があると考えられる。まず、1]温泉水及び温泉泥の科学的成分の研究。どのような効能があるか?6ヶ月から1年の研究期間がかかる。どの温泉水と温泉泥の組み合わせが良いかが分かれば、次の段階として患者さんにテストをし、比較してどのような効果が出るかを見極める。

次に、2]どのような組織作りをするか、どのような基本的設備を使い、オペレーターを育成するか。オペレーターは温泉泥の使用方法に対し、また、新しい知識に対して熟知が必要。最後に私の専門ではないが、3]この温泉治療の宣伝。例えば厚生省、保健機関とコンタクトを取って、広く宣伝し利用していく。そのことによって、別府が温泉治療の基準となる温泉地になっていけるのではないかと思う。私もペッツァートも新しいプロジェクトに対し、協力を惜しまない。

 

○ペッツァート女史が温泉資源の美容への活用の観点から以下の通り説明。

1] アバノテルメでの経験から

・健康に関するコンセプトが今、精神と肉体のバランスをいかに保っていくかということに変わってきている。ライフクオリティーに関しても、年齢にかかわってくる病気をどのように緩和し良いものにしていくか、健康プラス精神と肉体のバランスが人間の幸せと考えている。

・この哲学を実現していくため、新しいプログラミングをしていかなければならない。どのようなものが必要か分かれば、その方法を科学的に分析された質の高い製品を使って実現していくことになる。このような思想のもと、大学のリサーチセンターと共同で、どのようにエステのトリートメントをしていくか、合理的に温泉水とファンゴに含まれている含有物を使っていくかという研究がなされている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION