IV. 環境問題に係る主要な対策
1. 陸上交通における騒音問題への取り組み
(1) 自動車における騒音対策
自動車騒音について、環境基準の達成状況(1998年度)に関し、全国の測定地点(4,688地点)のうち、4時間帯(朝、昼、夕、夜間)全てで環境基準が達成されたのは619地点(13.2%)にすぎず、深刻な状況になっています。
自動車については、これまでに大型バス・中型バス、貨物自動車(車両総重量3.5t以下)、軽貨物自動車、乗用車、軽二輪自動車及び第一種原動機付自転車について順次騒音規制の強化を図るべく所要の措置が講じられています。例えば、大型トラックについては、中央環境審議会答申「今後の自動車騒音低減対策(自動車単体対策)」において加速騒音規制の目標値が81dBに設定(2001年より実施予定)されており、1971年規制の92dBと比較して、騒音のエネルギーに換算して92%減少しています。
(2) 鉄道における騒音対策
新幹線については、環境基準の達成を図るべく諸施策を推進していますが、発生源の対策のみでは達成は技術的に極めて困難であることから、住宅の集合度合いが高い地域では最大騒音レベル75dB以下とする音源対策等が進められています。具体的には、防音壁のかさ上げ、レールの削正による走行騒音の低減といった発生源対策や病院・住宅等の防音工事といった周辺対策が進められています。
また、在来線については、1995年の「在来鉄道の新設又は大規模改良に際しての騒音対策の指針」に基づき、新線の場合には等価騒音レベルとして昼間(7〜22時)60dB以下、夜間(22〜翌7時)55dB以下とし、大規模改良線の場合には、騒音レベルが改良前に比べ改善されるよう工事を実施しています。
2. 海上交通における環境問題への取り組み
(1) 次世代技術の活用による海上輸送の新生
交通分野の環境負荷の低減を図るためには、海上輸送の低環境負荷化に加え、自動車輸送から、エネルギー効率が良くCO2排出量が少ない海上輸送への転換を図る必要があります。このため、海上輸送に対する国民のニーズの変化や次世代技術の開発状況を踏まえ、
1] NOx1/10、SOx2/5、CO23/4以下に削減を図る次世代内航船(スーパーエコシップ)の技術開発・実用化等による「効率化」
2] 湾内航行のノンストップ化等を通じた海上ハイウェイネットワークの構築や新形式超高速船(テクノスーパーライナー)の実用化による「高速化」
3] 高度通信技術を活用した海上輸送システムの支援システムの構築(海のITS)による「IT化」
を総合的に推進することにより「開場輸送の新生」を図り、環境負荷の少ない海上輸送体系の構築を実現することとしています。
(注)
■スーパーエコシップ:高効率舶用ガスタービンの搭載、最適船型の開発等により、環境負荷の低減(NOx1/10、SOx2/5、CO23/4)、貨物艙の拡大(25%)、静音(騒音約1/100)、輸送効率の向上(約10%)等を実現する次世代内航船
■海上ハイウェイネットワーク:海のITS、港湾荷役の効率化・サービスの向上等のソフト面の施策と湾内航行のボトルネックの解消のための国際基幹航路整備や高効率なコンテナ・ターミナルの整備等のハード面の施策とを組み合わせることにより、速達性や高い定時性、安全性、効率性を確保した海上物流ネットワーク
■テクノスーパーライナー:優れた耐航性能・高い積載能力を兼ね備えた超高速船(時速40〜50ノット(時速74〜93km))
■海のITS:ITの活用により、船舶の知能化、陸上からの船舶の航行支援の高度化、海運情報ネットワークの形成を図ったインテリジェント化した次世代の海上交通システム