5. 自動車NOx法の改正等によるNOx、PM対策の強化
前で触れたように、大都市部におけるNOx、SPM等に係わる環境基準の達成割合は、それぞれ一般環境大気測定局で74%、34%、自動車排出ガス測定局で36%、12%であり、特に大都市地域を中心に環境基準の達成割合が低い状況にあります。また、自動車からのNOx排出量は65%(特殊自動車を含む)を占め、自動車による大気汚染が深刻な状況になっています。
自動車排出ガスによる大気汚染に有効な対策を総合的かつ計画的に推進するためには、窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法(自動車NOx法)を見直すことが必要です。こうした中、現在、中央環境審議会「今後の自動車排出ガス総合対策のあり方について」(答申)を受け、以下の内容の改正が予定されています。
(1) 粒子状物質(PM)の追加及び特定地域の拡大
自動車NOx法の対象として、現行の窒素酸化物(NOx)に粒子状物質を追加する。また、これに併せて名古屋地域や現在の特定地域の周辺地域等を対策を行う特定地域に追加する。
(注)現在の特定地域:埼玉県、東京都、千葉県、神奈川県、大阪府及び兵庫県の196市町村
(2) 車種規制の強化
1] ディーゼル乗用車を規制対象に加える。
2] ガソリン車への代替可能なトラック・バス(3.5t以下のクラス)について、直近のガソリン車並の排出基準(PMについては、新長期規制並)とし、ガソリン車への代替が可能でないトラック・バス(3.5t超のクラス)については、最新のディーゼル車の排出基準に強化する。
近年、ディーゼル車から排出される排気ガスを低減させるために、ディーゼル微粒子除去装置(DPF)の導入の推進が検討されています。大都市を中心とした大気汚染を改善するためには、DPFの装着も有効な手法であり、現在、排気ガスの吸収方法や使用可能な軽油の種類に応じて様々なタイプのDPFが研究開発されています。こうした研究開発が進む中で、早期に大気汚染対策を進める観点から、地方公共団体が行うDPFの導入に係わる補助に対し、国が間接補助を行うことが、平成13年度予算案で盛り込まれたところです。