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家電リサイクル品の海上輸送システムは本調査の実証実験により、輸送上の問題もなく円滑に輸送することができ、荷役作業、積載率、安全性、及び環境負荷などの評価項目で陸上トラック輸送と比べて十分に競争力があることが検証された。

実証実験データを参考に試算した結果、神戸から北九州まで家電リサイクル品を輸送した場合の家電リサイクル品1台当たりのCO2排出量は、陸上トラック輸送100に対して内航コンテナ船輸送が37、台船輸送が27、フェリー輸送が74となり、今回の海上輸送システムが環境負荷低減に有効であることが実証された。

大手家電製造業者は自社で使用している輸送機関について貨物の特性に応じた使い分けをしているのはもちろん環境対策にも積極的に取組んでいる。しかしながら平成13年4月から本格実施される家電リサイクル品のリサイクルシステムはトラックによる輸送システムが構築され、環境負荷の小さな海上輸送システムの利用は考えられていない。循環型社会に向けて家電リサイクル法が施行されたが、本法による新たな輸送需要の受皿はトラック輸送を前提としたシステムを構築している。こうした輸送体制は地球温暖化の原因となるCO2排出量の増大や都市部での大気汚染の深刻化を促すことが懸念される。従って、今後大手家電製造業者に対して、本調査の実証実験で得られた海上輸送システムの特性から、陸上トラックと同等以上の輸送サービスを提供でき環境負荷低減にも有効な「海運を活用した環境負荷低減型静脈物流(家電リサイクル品の海上輸送システム)」の活用をアピールしていくことが重要である。

 

 

 

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