・駅構内における産業廃棄物のコンテナへの積替・保管の許可は、ナホトカ号海難事故で流出した重油の輸送への緊急の対応により西岡山駅が取得しているのみである。
・自治体によっては、産業廃棄物が入ったコンテナを一時保管するエリアを特定するためのフェンスの設置が必要になる。
海上輸送システムを事業化するにあたり、1]廃棄物処理法上の許可取得が困難、2]輸送需要(廃棄物輸送)に対応した港湾経営の実施、などが課題となるが、家電リサイクル法により廃棄物処理法上の制約はかなり解消された。しかしながら前述したように、今回の海上輸送システムを事業化するにあたり以下の廃棄物処理法上の積替・保管施設基準の見直しが求められる。
○廃棄物処理法上の積替・保管施設基準の見直し
家電リサイクル品は物理的・化学的に安定しており、短期的な環境汚染作用はほとんどないことやコンテナを利用することで保管・輸送上の安全性が確保できることなどから、管理型の廃棄物を対象としている廃棄物処理法上の積替・保管施設の基準は適当ではないといえる。
(2) 事業化に向けたその他の課題
法的な課題の他に以下のような事業化に向けた課題があげられる。
○2社・5社グループ共同処理によるリサイクル工場の高度化・集約化・大規模化
家電リサイクル品の輸送・処理システムは、2社・5社グループ別々に構築しているため家電リサイクル品の回収規模や処理規模が二分されている。このことから指定引取場所における荷受、仕分、保管、出荷といった業務、指定引取場所からリサイクル工場までの輸送、リサイクル工場での処理などの効率が低くなるおそれがある。効率的な家電リサイクル品の処理を行うには、2社・5社グループ共同処理による集約化、効率化を図る必要がある。また、現在設定されている家電リサイクル品の回収率・リサイクル率が上昇した場合には、現在の小規模分散的なリサイクル工場では対応できなくなる可能性が強く、リサイクル工場の高度化・集約化・大規模化により、広範囲の地域から回収することが必要になると予測される。
○臨港地区にリサイクル工場や指定引取場所を設置
リサイクル工場はトラック輸送を前提とした配置となっており、臨港地区に隣接しているリサイクル工場はあまりない。第7章3項(2)「家電リサイクル品の海上輸送システム」で示したように臨港地区に隣接していればトラックによる横持輸送が縮減され、輸送コストはもちろん環境負荷低減も図ることができる。また、リサイクル工場だけではなく指定引取場所も臨港地区に設置することで、本船までの横持輸送を最小限に抑えることができる。従ってリサイクル工場や指定引取場所の新設に当たっては海上輸送が利用できる臨港地区に設置することが重要である。