○指定引取場所で海上コンテナを使用する場合の問題点
・一般及び産業廃棄物の積替・保管施設の構造は、囲いを設けない場合には一本のコンテナのために約12m×16mという大きな空地がいる。囲いを設ける場合はコンテナ全体が入る規模の施設が必要である。この保管場所の基準は廃棄物の飛散等による汚染を防ぐ目的のものである。
・保管場所で保管できる量の上限として、保管場所が一日に搬出する平均的数量の7倍という基準がある。船舶に産業廃棄物を積載するための積替・保管に関しては例外規定があり、船舶の積載量の1.5倍まで緩和される。
(4) 海上輸送の特性と家電リサイクル法施行による利点
海上輸送手段はトラック輸送と異なり1回の輸送量が多く、余分の船腹を含めて、包括的に許可申請しておき対応するという契約形態はない。また、廃棄物処理法では廃棄物を積載した船の積地と揚地を特定することになり、多くの寄港地と船舶を組み合わせた配船計画による経済的運行体制が取れない。このほか全国規模で海上輸送を展開するには、多数の港湾、港運業者、海運業者、陸送業者が参加することになるが、再委託の禁止をはじめとして船舶の許可、横持車両の許可、積替・保管の許可、発着港の自治体ごとの許可が必要になる。
しかし、前述したとおり指定引取場所からリサイクル工場までの輸送は、製造業者が設立する廃棄物処理施設の許可を環境大臣から得ることを条件に、製造業者が委託した業者は廃棄物処理法上の許可を得ることなく輸送の業につくことができるようになる。特に海上輸送のような端末輸送にトラックを利用する複合一貫輸送の場合には特例による業務内容の軽減効果が大きくなる(表2.1)。
このことから、回収率、リサイクル率がある程度確保されるものについては家電リサイクル品のような廃棄物処理法の特例を設けるなど回収物流が円滑に行われるような措置が望まれる。
●廃棄物の収集・運搬の再委託の禁止
収集・運搬業者は「産業廃棄物の収集若しくは運搬を他人に委託してはならない(法14条第10項)」と規定されている。ただし、「再委託の基準(施行令第6条の8)」を満たせば、1回の再委託は可能である。しかし、再々委託は厳禁となっている。
再委託する場合は、排出者から「あらかじめ書面による承諾」「再委託先に原契約書に記載されている必要事項を記載した文書を交付」が必要になる。